巨人は荒れ狂っていた。
腕を振り回してはビルを破壊し、地団駄を踏んでは道路を陥没させていた。
わたしはビルの屋上からコンクリートの破片を彼の頭に投げつけた。
彼と私は昔からの知り合いだった。
彼がわたしのほうを振り返り、わたしに気づいた。
わたしは叫んだ。
「そんなことをして何になる!」
彼はじっとわたしを凝視した。目からは大粒の涙が今にもあふれそうだった。
「さあ、あるべき場所へお帰り」
わたしがそういうと、彼はうなだれてビルの谷間を歩き出した。
男は、幼い頃に母親を亡くしていた。いや、「亡くなった」と聞かされていた。